車検を受ける場所はどこがベストでお得なのかを検証してみた結果

車検時期になると悩みは費用とどこで受けるか?ではありませんか。車検は国が決めた検査なので、ディーラーでもそれ以外で受けても変わりません。現実には車検料金に開きがあるのはなぜなのか?現役メカニックがその真相に迫ってみた。

車検が高い理由とは?

『車検は高い!』と思っている人は多いと思います。それもそのはず、車検システムが複雑で未だに料金が不透明だからです。だからこそ知識を付け最適は車検費用を提示してくれる場所を選ぶ事が重要です。

「車検とは」なんですか?

車検とは厳密には「継続検査」のことを指し、有効期限が決められています。

自動車検査証の有効期間満了後も引き続き使用する場合には、使用者は最寄りの運輸支局又は自動車検査登録事務所で継続検査を受けなければなりません。

継続検査は、有効期間の切れる1カ月前(離島に使用の本拠の位置を有する自動車にあっては2カ月前)から受けることができます。

車検(継続検査)を受けることは使用者の義務で道路運送車両法の「道路運送車両の保安基準」に適合しているかを国の機関やそれに準じる機関で検査をしてもらう事です。(法律用語は難しいです(; ;)

簡単に説明すると、車検(継続検査)は本来使用者が国の機関(車検場)にクルマを持って行き、検査をしてもらうことです。
なので、車検(検査)自体の費用はディーラーでもガソリンスタンド、街の整備工場、オートバックスでも料金は一律です。

車検(継続検査)費用(手数料印紙代)

『普通車』・・・軽自動車以外のクルマ
「小型自動車(二輪車含む)申請手数料」
合計:2,200円
(国の印紙代:500円+自動車機構の証紙代:1,700円)
「小型車の規格」・・・5ナンバー・4ナンバーが該当
・ 全長:4.7m以下
・ 全幅:1.7m以下
・ 全高:2.0m以下
・ 排気量:2L以下
・ 車両重量:5トン未満
・ 最大積載量:3トン未満
・ 乗車定員:10人以下

「小型自動車以外(普通・大型特殊)申請手数料」
合計:2,300円
(国の印紙代:500円+自動車機構の証紙代:1,800円)
小型自動車の規格を超えた物がこのカテゴリーに分類されます。

『軽自動車』・・・普通車以外のクルマ
軽自動車の規格に収まるもの
・ 全長:3.4m以下
・ 全幅:1.48m以下
・ 全高:2.0m以下
・ 排気量:0.66L以下
・ 乗車定員:4人以下

「軽自動車申請手数料」
合計:2,200円(軽自動車検査協会の検査場)

つまり、車検(継続検査)を受けるには
・ 小型自動車:2,200円
・ 小型自動車以外:2,300円
・ 軽自動車:2,200円
だけしかかからないのです。

車検手数料印紙代※注意※ここに記載しているのは「車検場」に持込検査を受ける手数料です。(令和5年1月1日改訂)

だったら、ディーラー等で提示される総額◯◯万円はなんなのか?(||゚Д゚)ヒィィィ!

ディーラー車検が高いカラクリとは

車検(継続検査)自体はあなたが思うほど高くないことは分かってもらえましたか?『たったこれだけ?』と思った人も多いでしょう。

ここから詳しく車検が高くなるカラクリを掘り下げて説明したいと思います。
まず、この図を見てください

あなたが車検を受ける時の選択場所
車検(継続検査)を受けるのは「使用者の義務」です。が実際に国の機関に直接出向くのはそれなりの知識や度胸が必要になってきます。
例えば
・ 仕事をしている
・ 子育てて忙しい
・ 車検の取り方がわからない
など・・・

そこで、あなたの代わりに「ディーラー」や「整備工場」が検査を行ってくれます。
大きく分けると
1:あなた本人(ユーザー代行含む)
2:車検場に持ち込み業者(認証工場)
3:国から指定された業者(指定工場)
これら3パターンの中から選ぶ事になります。

一番安上がりなのが、パターン1の本人(代行業)であなたが直接国機関に持っていけば、『申請手数料』だけで車検(検査)が終わります。

車検はあくまで検査するだけ

検査はあくまで法律に適合しているかを判断するだけです。特殊な機材を使って判定しています。
・ サイドスリップテスター
・ スピードメーター
・ ヘッドライト照度と光軸
・ 前後ブレーキ:パーキングブレーキ
・ 排気ガス(黒煙含む)
・ 下廻り検査
たったこれだけの項目を流れ作業で検査するだけです。
車検場

車検を受けたからって1年間、もしくは2年間を安全に走行できる保証をしているものではありません。(ここが誤解の部分です)

検査を受けた時点(今日現在のみ)が法律に適合しているだけ、と言う事です。
良く聞く話ですが、『車検を受けてまだ1ヶ月した経っていないのに壊れた!』は点検・整備をしていましたか?が重要な部分です。

家族を乗せて安心して長距離ドライブをするには消耗品などのチェックが必要になります。クルマは約3万点もの部品で作られているので重点的にが「24ヶ月定期点検整備」「12ヶ月定期点検整備」と言われる点検・整備が必要不可欠なのです。

点検の必要性がある部分
1つの例「消耗品」
・ ブレーキ(ディスクパット・ライニング)
・ 各ベルト類・ワーパー類などのゴム製品
・ エンジンオイル等の油脂類

検査は行政が行いますが、その他は「民間業者が行う部分=点検」になります。つまり、車検と点検がセットになっているから『ディーラーは高い』と勘違いしてしまうのです。

車検の時同時に点検をした方が良いこと

検査はクルマで使われている全ての部品を分解して検査する訳ではありません。(仮に全ての部品を分解しチエックしていたらどれほど費用がかかるのか?分かりませんよ)だから車検を受けたからと言って安心ではないのです。

例えば、前輪にはクルマを止める装置=ディスク・パットと言う部品が付いています。この部品が摩耗し無くなってしまうと、ブレーキが効かなくなってしまいます。
使用限界を超えた「ディスク・パット」
新品は約10mmあります。猛スピードで走っているクルマが止まらない訳ですから、凶器そのものです。

車検(継続検査)ではこの部分を分解し検査しません。
点検には「定期点検」と呼ばれる整備が必要で、この定期点検を
「法定24ヶ月点検」
「法定12ヶ月定期点検」
と呼ばれています。
そして、点検・整備をした証として「定期点検記録簿」がディーラーや整備工場から発行されます。

記録簿は、法定点検を行った内容を記録し過去の点検を確認するために使われます。また、部品交換する時の判断材料としても使用されます。クルマの査定にも影響し買取価格が高くなる事もあります。

(定期点検整備)

第四十八条 自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第一項及び第五十四条第四項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車についてそれぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。

さて、ここでおさらいしてみましょう。
『クルマを安心して安全にドライブするには』

1:車検(継続検査)を受ける
2:法定24ヶ月点検を受ける
がセットで必要です。

つまり、ディーラーや整備工場で行う車検にはこの2つがパッケージされているのから車検費用が高く感じると言うことです。

車検はディーラーかその他かどれが良いでしょうか?

車検を受ける時、安いだけで選んではいけません(キッパリ)なぜなら、一番安くできるのは「点検」が省かれている可能性が大だからです。
ではどこが良いのか?
独断と偏見で選んでみたよ。

車検を受ける場所メリット・デメリット

1:ディーラー
メリット:自社の車なら整備書があるので詳細を把握している。(難しい故障診断には強い)
デメリット:メカニックの技量の差が大きい

2:カー用品店・ガソリンスタンド
メリット:安いところもある(お店が綺麗で入りやすい)
デメリット:腕の良いメカニックの絶対数が少ない

3:車検専門店(ホリデー車検やカーコン車検など)
メリット:基本的に整備工場が運営しているのでクルマの事に詳しい
デメリット:フランチャイズ店なので多少高いかも

4:町の整備工場
メリット:腕の良いメカニックが多い(古いクルマが得意)
デメリット:入りにくい(汚い・臭い・頑固)

ここからが独断と偏見でランキングにしてみた。

長い付き合いをするなら「4」
とにかく点検までして安くなら「2」
安心だけなら「1」かな・・・。

僕としてはディーラーだから安心、は無いです。なぜなら、メカニックで入社しても営業に回されることが多いので新人メカニックが多いイメージがあるのです。(整備士としてのスキルが少ない)

車検にかかる費用は幾らが相場?

さて、法定24ヶ月点検費用はどれ位するか?調べてみましたが、いわゆる「ピンキリ」です。
『軽自動車の場合』
24ヶ月定期点検料・・・19,980円〜

『普通車の場合』
24ヶ月定期点検料・・・21,000円〜

これはあくまで目安としてくださいね。法定24ヶ月点検費用は、会社の儲け部分でもあるのでどこで車検を受けても同じ!と言う訳ではありません。当然、軽自動車とベンツが同じ料金でもないので車検を受ける時には、相見積もりすることをお勧めします。

車検にかかる費用の内訳

『車検費用内訳』

「諸経費」
・ 重量税
・ 申請印紙代(継続検査に使う手数料)
・ 自賠責保険料
車検で軽自動車が必要な諸費用を詳しくは過去の記事で

「点検、他費用」
・ 法定24ヶ月点検費用
・ 代行手数料(あなたに代わって検査場に持ち込む手数料)
・ 保安確認検査(検査機器等を使用する手間賃)
・ 下回り洗車(取ってないところもあります)
・ 下回り錆止塗装費用(取ってないところもあります)
・ その他費用

これらの合計が『車検費用』としてあなたに提示されることになります。
もし、整備が必要な部分があれば、「整備料金+部品代」が必要です。

ま と め

車検はとても難しく分かりにくい制度です。検査を受けて合格すれば、次回車検満了月まで公道を走ることができます。

しかし、これで安心か?は別問題。国のお墨付きがあるからと安心ではありません。
なぜなら、クルマは走れば走るほと部品は消耗するからです。そして修理にはメカニックの腕の良し悪しが出る部分です。

一般的に言われるカー用品店・ガソリンスタンド車検はメインが用品の販売です。車検のような軽整備なら問題ありませんが、重整備となると整備工場の方がメカニックの腕は確かです。また、特定車種に関しての整備・修理はディーラーが膨大な情報を持っているので良いでしょう。
もしくは長年特定車両だけを整備してきた街の整備工場は長年のスキルが武器です。

どこで車検を受けたら良いのかを判断する時、大切なのはクルマを整備するのは人(メカニック)をどの程度信頼する事ができるのか?全てがここにかかっています。